第10回 クローズ逝く…

どもっ、後輩を家に招き酒を飲みながら「恋におちて」(小林明子、1985年)を朝まで5、6回熱唱し後輩を困らせています。みなさん、もしも願いが叶うなら吐息を何に変えますか? 私は吐き気を白いバラに変えます、イマダチです。


今回「バグズ・ライフ」としてお伝えする予定でしたが急遽変更いたしまして、特別追悼文「反抗的イチゴ、クローズ逝く〜父の無念〜」を掲載したいと思います。


思い起こせばイチゴの苗「クローズ」との出会いはことし2月末、立派な苗の横で売れ残り、苗なのに、ぬれネズミのようにおびえ震えていたのを覚えています。


これは長くもたないだろうと医師から宣告をうけながらも、私は夜も寝ずに「冷えピタ」をはりつづけました(イメージという名の妄想です)。


瀕死のイチゴの苗ということから、ついたあだ名は「ヒッシー」。


しかし、担当医の予想に反し「ヒッシー」はみるみる元気になり、なぜか黒々とした葉を咲かせ、肩で風切り路上にツバを吐く、不良イチゴ苗になりました。


それが「クローズ」です。




あっ! アニメやドラマで編集が間に合わなかったから総集編でお茶を濁すみたいになってますね。


では、結論から言いますと、私イマダチ「クローズ」がつけた立派な実を、半腐らせてしまったのです。


まだ熟れてない、まだ熟れてないと思ううちに、放置しすぎてしまったのです!


ここからは言い訳です、ハーバード(手間いらずの優秀イチゴ苗)ほど赤くならないなーと数日待ってたら、「緑→ピンク→赤」とはならず「緑→ピンク→茶」という一個すっ飛ばしてるだろ!な色を醸しだしたのです。


これはまずいと実を確保し、とりあえず冷蔵庫へ入れ封印。1時間後、確認するも状態は改善せず、ただただ冷え、死体感がより増す「クローズ」の実。


冷蔵庫の前で立ち尽くし「キレイだろ…これイチゴなんだぜ…」と漏らす「ダッチ」のダッちゃん(元ネタがわからない人は「あだち充 達也」で検索)。


しかし、こんな姿にしたのは私のせい、いまできる弔いは食べることであると思い口に運びます。


熟れすぎた実は予想以上に柔らかく、かむと水分が多量に口の中に広がります。


しかし一口食べて信じられない風味が脳に伝達されました。


桃です! 桃の味なんです、ピーチなんです、ひいては尻なんです(これは違う)。熟れたことで過剰になった水分と柔らかさはまさに桃。甘みもあり、桃の缶詰に近いです。


いつも反抗してきた「クローズ」らしい予想を裏切る味でした…うまかったぜクローズ。


イチゴを桃の味に変えるという無駄な奇跡を見せるダチ農法(永田農法で始めたんだがどこで間違えたんだか…)、次回こそ、今度こそ、ほかの野菜たちの状況をお伝えしたいと思います。


みんな直射日光を避け常温で見てくれよな! ではベラバ〜イ!(第11回へ続く)

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